安全保障関連法案の廃案を求めます
安倍政権が安全保障関連法案を衆議院で強行採決したことに対して、多くの大学人が声を上げています。
安全保障関連法案の根本的な問題は、憲法違反であり、立憲主義の根幹をゆるがすものであることです。時の政府の判断でいかようにも憲法の解釈を変えることは、憲法としての存在意義を奪うことになります。
そして、それを衆議院で強行採決した安倍政権は、次の二点においても、国民的審判を下されなければなりません。
ひとつは、「民意の無視」という、民主主義の根幹にかかわることです。各種世論調査では、多くの国民が安保法案についての政府の説明が不十分であると答え、法案への反対が賛成を上回っています。内閣支持率が不支持を下回り、各地の地方自治体議会や日弁連等、多くの組織が反対を表明し、さらに、学者の会や学生の会など、この法案に反対して共に行動する組織が次々と結成される中で、現政権が強行採決に踏み切ったことは、議会多数派の横暴であり、独裁政治につながるものです。
もうひとつは、憲法学者の多くが「違憲」であると述べていることを無視していることに典型的に表れている「反知性主義」です。安倍政権は、学者の専門性を都合よく利用することだけを考え、それができないときには、平然とそれを無視しています。それぞれの専門分野で研究を深め、学生を育てることを職務としている大学人として、これを看過することはできません。
桜美林学園の創立者清水安三は、「日本国民は、世界にかつてない非攻非戦主義のパシフィックな憲法を持っている」と日本国憲法に言及し、キリスト教主義に基づく国際人の養成をその建学の精神として掲げました。
立憲主義、日本国憲法を守り、平和を守る立場から、私たちは、日本の若者を戦場に送ることにつながりかねない安全保障関連法案に反対します。そして、武力によらない平和の構築を世界の人々との連帯で実現していくことを、改めて私たちの理想として掲げ、その責任の自覚をもって、大学人として日々の研究と教育活動に専心したいと思います。
2015 年 8 月 24 日
安保法制に反対する桜美林大学教職員有志の会